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眠虎の民

小説『『眠虎の民〜ネコノタミ〜』』のあれやこれやについて。

2025年6月 7日 (土)

ネコタミ第四章の12です。

 

『眠虎の民〜ネコノタミ〜』第四章の12です。

だいぶ遅くなって申し訳ない。

今回は本文が気持ちいつもより長いので、最後にちょっとだけ裏話を。

 

以下本文です。

 

☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆  ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 

 
『眠虎の民~ネコノタミ~』

第四章『水の国の転輪聖王(チャクラヴァルティン)』【十二】

 

「本来ならば、あちらの記憶が確かなうちにテストを受けていただくのが先なのですが」

 スズの少し先、先頭に立って歩くジョウゼンが振り向かずに話す。
 売店と案内所があったロビーを抜け、四人はほとんど一列に並んでこの坎龍水宮の中央部に向かっている。

 建物内部は奥と階下に向かうほど政治的に重要な施設があるそうで、八方向、方角事の建物に、それぞれ受け持つ行政の役割が決まっている。
 たとえば入口になっている南側のロビーの階下にはエネルギーを司る『離火庁』が、反対側の北には情報や歴史を管理する『坎水庁』がある。

「今回は、こちらに来てからもう既に、大分、時間がたってしまっているので」

 振り向きはしないがギンコに刺さるように言っているのが伝わってくる。最後尾を歩く当の本人のギンコは『どこ吹く風』の面持ちだが。

「坎王様のご意向もあり、まず最初にお会いしていただく事になりました。くれぐれも失礼の無いように」

 やがて建物の外部、上階が屋根と壁付きの連絡通路になっている長い渡り廊下に出た。一階のこの廊下の両サイドには、柔らかな陽の当たる吹き抜けの中庭が広がっている。

 数人が木陰で休めるほどの、やや大きな木とその下のベンチ。噴水と美しく敷き詰められた敷石は建物に入る前の情景と似ていたが、その中央にはスズが今まで見た事の無いものがあった。

「あれ、何ですか?」
 いつものクセで、スズは振り向いてギンコに聞いていた。

「ん? ああ、あれが『魚石』だよ。せっかくだから観ていこう!」

 言うが早いが、ギンコはスズのショルダーバッグの吊り紐部分をつかんで中庭の中央に向かって歩き始めた。
 ほとんど後ろ向きに引きずられる形になったが、そのお陰でジョウゼンの慌てふためく様子を見る事ができた。

「だから何でこう好き勝手に寄り道を――」

 彼には珍しく大きな動作で振り返ると、驚きと呆れの入り交じった表情でギンコに叫びかける。

「いーじゃん別にあと五分くらい遅くなったって。坎王様は許してくれるよ、誰かさんと違って、寛容で優しいし!」

 今回は気のせいではなく、絶句したジョウゼンの表情が怒りで凍りつくのがスズの目にもしっかり見て取れた。
 マンガだったら額に怒りのマークが浮き出ていることだろう。
 何となくだが、彼本人の事よりも、王様を引き合いに出された事が許せないようだった。

 どこか底知れぬ恐ろしさを感じて、スズは早足でくるりとギンコの歩む方向に体勢を立て直して、『魚石』の前に進み出た。

 

 それは、直径三mほどの、横にした卵のような形の楕円形の水槽だった。
 海底をそのまま移してきたような岩や砂に海藻と珊瑚があり、おおよそではあるが岩場や水中には十種類ほどの小さな魚や貝類などの生き物がいる。
 地味なものも派手なものもいるが、基本的には南国の魚のようにカラフルで美しく、どの生物も色や形がそれぞれ違って面白い。

 地球でも大型の水槽や水族館で普通に見られる光景だが、違うのは天井にもどこにも穴が空いていない事だ。
 水槽の下には黒檀やマホガニーのような木材で作られた蓮を模した高い台座があるが、床面から何処かに繋がっているようにも見えない。

「これ、どうやって中に魚を入れたんですか?」
 後で塞いだのだとしても、エサをあげる時にはどうするのだろう。

「後で魚たちを入れたんじゃなくて、坎石が長い時間をかけて固まって、結果的に中に閉じ込めちゃったんだよ。それが、『魚石』。すごーく珍しいんだけど、たまに海廊の工事とかで見つかったりするんだ」

「割って、逃がしてあげたりはしないんですか?」

 何となく息苦しさを感じて、スズが尋ねた。
 せっかく広い海に生まれたのに、閉じ込められたままでは可哀想な気もする。

「生まれてからずっと石の中にいるから、外に出すとすぐに死んじゃうのよ。気圧の変化とか、その中にいない病原体とかが原因で」
 いつの間にかスズの隣に来ていたフーカが答える。

 そう言われてみれば地球でも『ボトルアクアリウム』とか、『バランスドアクアリウム』とかいうものを自然や趣味を紹介する番組などで見た覚えがある。
 酸素を生み出す植物や、水槽を清潔に保つバクテリア、魚のエサになるプランクトンなど、人工的に作るには奇跡的とも言えるバランスで整える必要があるそうだ。

「それに、外に出たら他の天敵にも襲われやすいしね」
 ギンコが補足して説明する。「その分、新しい出会いもないけど」

 確かにそれまで遭遇した事の無い敵がウヨウヨいる外の世界では、戦い方や逃げ方も解らないだろう。普通に外で育った種より襲われやすいのかもしれない。

「スズはどっちが良いと思う? 安全だけど何処にも行けないのと、危険だけど何処でも自由に行けるのと」

 ギンコが、魚石の中でも一際大きな銀色の魚を見つめながら尋ねた。
 魚たちは珍しそうに時にチラチラと、こちらを気にするように見て泳いでいる。

 

「それはその中の生き物で、頂点捕食者だった場合の視点では? 被食者側に生まれついた者にとっては、“安全”どころか永遠に逃げ場の無い牢獄でしょう」

 スズが答える前に、やや後方で彼らを見ていたジョウゼンが口を挟んだ。
 監獄をテーマにした映画か何かで聞いた、『死んではじめて出られる』と言うセリフがスズの頭をよぎった。

「分かりやすく言っただけじゃん、うるさいなぁ」
 ギンコがしらけた口調で振り返る。

「そういう考え方が人類の無意識に思い上がったところだと言っているんです。
 常に自分達だけが最高位にいて、最も優れた賢い生物だと思い込んでいる。
 自然界の他の生き物の命など、取るに足りない物だと、己の欲を満たすために自由にしても良いと勘違いして疑うことも無い。その為にどれほどの命が無惨に奪われてきたか。
 もしその中に人類がいたのなら、あっという間に全てを食べ尽くして全滅しますよ。
 かつての地球がそうだったように!」

 彼にしては珍しく、最後の一言は声を荒らげた。

「誰も今、そんな話してないじゃん。
 だいたいボクはスズに聞いたんであって、お前には聞いてません〜〜!」

 仮面で顔は見えないが、ほとんど子供がケンカをした相手に舌を出すような様子でギンコが答えた。ひょっとしたら本当に舌を出しているかもしれない。

「まったく、どこまでも幼稚な……。行きますよ! もう充分でしょう!!」

 呆れ果てたジョウゼンは衣を翻してスズを招くように声をかけると、踵を返して渡り廊下の方へ戻り始めた。 

「『愛する者か、敵対者か。共に生きる者で世界はいかようにも変わる』。って師匠も言ってたけどさ、お前はそうやって人類みんなを敵にまわすじゃん! 少しは人を信じてみろよ!」

 ギンコがエッジの声マネを混じえて叫びながら後を追う。
 そんな二人の背中を見つめながら呆れたようにフーカが言った。

「確かに一緒に閉じ込められた相手によって、そこが天国になるか地獄になるかが決まるのかもね」

 そう言えばベタという闘魚がいたなとスズは思う。
 ヒレが長く大きく、カラフルに光り輝くような体色もとても美しい観賞魚だが、オス同士を一緒に飼うと激しく争いあってお互いを傷つけてしまうのだ。

「でも、自分が無理に相手に合わせて好きな人と一緒にいるよりも、ケンカしながらでもお互い本音で話して正直でいられる関係の方が楽で楽しいってことはあるかもね?」

 苦笑しながら肩をすくめて、フーカも二人の後を追った。
 最後にその場に残されたスズは、改めて魚石の方を振り返って考えた。

『安全だが自由のない牢の中か、危険でも自由に生きられるシェルターの外か』。

 かつての自分なら前者を選んだかもしれないが、今の自分はどちらを選ぶだろう。もし自由に選べるのなら――。

「君たちは、どっちを選ぶ?」

 小さく、魚石の中の生き物たちに向かって問いかけた。
 そして、もう振り返らずに三人の後を小走りで追いかけた。

 

 

【『眠虎の民~ネコノタミ~』

第四章『水の国の転輪聖王(チャクラヴァルティン)』【十二】了】

 

☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆  ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 

はい。そんなわけで今回魚の『ベタ』を検索しましたら。

本当に、ほんっとうに、あんなに綺麗な生き物がいるんだなと。

 

何かもう、光り輝いているし、色も形も多種多様だし。

タブで常に検索ページを開いておいても目の保養に。

 

関係ないですが、『Hariqua』っていう宝石サイトさんも

美しいので常にその時好きな宝石のページが開いてあります。

(石のパワー的なことの説明も全体のデザインも綺麗で素敵です。

スピリチュアル嫌いな人には勧めませんが、私はそういうのも好き。)

 

そうすると表示される広告も美しいものばかりになるので眼福。

これとかジョウゼンの宝石に近いし。

自分が想像したものに似たものがあると嬉しい。笑

 

ベタのオスに生まれて美しい自分の姿だけ見て一匹で

暮らせたら幸せな気がする。良い飼い主さんに恵まれて。

でも自分の姿も鏡で見ると敵に見えて攻撃したりするんですっけ?

 

あと個人的には安全で清潔な場所で隔離されてご飯も美味しいなら

一人気ままに好きに生きていくほうが幸せだとも思うんですが、

なぜか人間以外の他の生き物になると「一匹じゃ可哀想かも」

と思ってしまうのも事実。これは何でなんだろう。

 

まあ生き物やその個体によって幸せも変わるんだろうけど。

スポーツマンタイプの人だったら外で動けないのが拷問だろうし。

 

自分に置き換えると、嫌いな存在と一生

閉じ込められて生きるほうが地獄なんですけどね。

本当に好きで、気の合う生き物少数と暮らせたら、

それが一番幸せかもですが。

 

2025年4月13日 (日)

上善の裏話とかと、その他。

 

※小説でまだ描いていない部分のお話なので、

 ネタバレとして知りたくない方は2、3話分くらい、

 しばらく読まないでどうぞ。

 

数回前の日記で、今も紳士な親戚のお兄さん

(母の弟さん:叔父さん)の話をしたじゃないですか。

 

イメージの中のあの叔父さんの若い頃の王子様具合、

これが上善のもともとのイメージそのままだと、

今さらになって気が付きました。笑

 

女性的とも言えるほどにほどに美形で色白で、

髪色明るくてサラッサラでふんわりした笑顔というような。

 

↓この写真の上側が、もともとの雰囲気。

笑顔が優しくて柔らかくて、おっとり系の王子様。

(もっとちゃんと描いたものもファイリングしてとってありますが、

 『眠虎の民』の基本設定の一番大事なノートの一つがこれ。)

P4132624

↑この写真の下の部分はイメージ画や設定資料として最近描いていたもの。

 

設定上いろいろ付随して、最初は素直で可愛い普通の男の子だったけれど、

年齢を重ねて『人類』について学んでいくうちにこうなったという。

柔らかい水のイメージから、冷たい氷のイメージに。

 

↓こちらも、そういう意味の設定として最近描いたもの。

P4132625

フーカが4歳くらいで初めて出会った時は、

上善15歳くらいの時なので、上記のイラストよりは

もう少しだけ輪郭とか大人びている感じですが。

 

女の子的な気持ちとしては、小学生くらいの時に、

10代後半から20代前半のアイドルや芸能人の人に憧れる、

あの感じのイメージですね。

クラスでは普通に好きな子とかはいたとしても、メディアでは

同年代の子供の芸能人よりも、少し上のお兄さんが素敵と感じる頃。

 

というか、私にはそういう思い出があるというだけで

これも人によるかもしれませんが。

「大きくなったら〇〇君のお嫁さんになる!」よりは

もう少し現実的なんだけど、妄想的に好きな分には楽しい時期。

 

幼少期や小学生くらいの男の子の気持ちは正直わからないのですが、

やはり少し年上の芸能人に憧れたものでしょうか?

まあ年齢を重ねれば男性も女性も、お互いに釣り合ったり離れたり、

精神年齢や価値観などの方が大事になってくるものだと思いつつ。

 

ちなみに、『水色(青色)の王子様(イルプリンチペアズーロ)』は、

イタリアで本当にある表現らしいです。

『目からウロコ』じゃなくて、『目から生ハム』も。

 

あとまったく関係ないし、そもそも発表できるような作品ができるのか、

まだ描いてもいないので今言ってもどうなんだろうと思いつつも、

マンガとかでのペンネームは『アカネ ミナ』にしようかなと。

 

どこかでマンガを描くなら名前を『福猫マウ』にしようかなと思ってたんですが、

何か昨日あたり迷って画数占いしてみたら意外と良かったので。

 

『茜』って、私の本名で付けるか迷ったもう一つの名前らしいので。

名字として使うとバランスが良いことに何故か今まで気が付かなかった。

 

昔の『ジンタミナ』も好きだったんですが、なんか遥か昔に

バイト仲間の人にしつこくペンネームを聞かれて、なおかつ、

変な発音で聞き返されたので使うの恥ずかしくなっちゃったんですよね。

下げるべき発音で上がる⤴️、上げるべき発音で下がる⤵️、みたいな。

そういう理由でペンネームを変えることもしばしば。

 

だからあんまり日常生活で聞かれたくないんですよ、ペンネーム何?って。

本当は親兄弟、親戚の人とかにも言いたくない。

ネットで気軽に画数占いできるようになってから、

こだわりは響きや印象よりも主に画数の良さなので。

 

でも『アカネミナ』ならなんだか全てにおいてしっくり来る。

(念の為検索してみても昨日の時点では同じペンネームの人もいなそうだし。)

もともと自分の名前になるかもしれなかった言葉だし、何となく、身軽になれそう。

 

全てそっちに統一するのも良いんじゃないかとも。

まあそう言っておいて違う名前を使うかもしれませんが。

何より作品の方を描けって話ですね。まずは簡単なものから。

 

そんな裏話などでした。

 

2025年3月29日 (土)

ネコタミ4−11です。

 

『眠虎の民〜ネコノタミ〜』4−11【水の国】と、
ちょっとした裏話です。遅くなってごめんなさい。

以下4−11本文です。

 

☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆  ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 

 
『眠虎の民~ネコノタミ~』

第四章『水の国の転輪聖王(チャクラヴァルティン)』【十一】

 

「あ、“とくにマレビトの男には!”」
 
 フーカはさらに“これが大事!”というふうに付け加えた。

 どうやら流れ弾に被弾したようだ。
 スズには先程の菊の矢が自分の胸に刺さったように感じられた。
 何となく、今後の会話ではギンコの肩を持ちたくなった。

「スズがそんな奴だったら、ボクがフーカに近づけるわけないだろ!
 人畜無害な良い子だよ、スズは!」
 
 ギンコがスズの両肩を掴み、グイッと反転させるようにしてジョウゼンとフーカの間に入るように押し出した。

(なぜだろう、褒められている気がしない)
 スズは心の中で呟いた。

「だいたい、そんな奴はこっちに来ないで魔境送りになってるよ!」

「どうだか。自らの損得で簡単に信条も変えれば嘘もつく、心猿の輩に油断は禁物です。とくに人間のオスには」

 ジョウゼンが見下したような視線を向ける。
 二人が並ぶとギンコの方がわずかに背が高いのだが、笠の分だけ丈があり、迫力としては同等に感じられる。

「だ、か、ら、お前も人間、マレビトの男じゃんか! 
 欲だけじゃなく、ちゃんと『愛』のあるマレビトの男もいるんだよ!!
 そんなんだからフーカを嫁にやれないんだよ!」

 ギンコが天を仰いで地団駄を踏む。

「娶《めと》らせてほしいと頼んだ覚えはありませんが」

「なんて事言うんだ! フーカが傷つくだろ!!」

 その瞬間、スパァンと乾いた音がドーム内に響き渡った。
 フーカの高速の蹴りが、ギンコの太ももの後ろ上部に入った。

 ような気がした。
 何事もなかったかのように長いスカートの裾が足を隠している。
 視界の端に残像として残る一瞬の光景に、スズは自分の目を疑った。
 
「いっ……たいなぁもう! ……わかったゴメン、ボクが悪かった」

 仮面の上からも感じられるフーカの殺気に、ギンコは黙った。

 

「改めまして」
 一連の流れを断つように、一つ咳払いをしてジョウゼンが言う。

「魂衛師団《こんえいしだん》の一員として、孔様に仕えさせていただいている、ジョウゼンと申します。こちらはフギンとムニン」

 彼の左肩と右肩に乗る二羽の白い鳥を手で指し示した。

「ようこそ救いの民」
 フギンと呼ばれた左肩の鳥が、左の翼をひろげて少女の声で言う。

「あるいは滅びの民」
 ムニンと呼ばれた右肩の鳥が、右の翼をひろげて少年の声で言う。

「ああ……ええと、鈴木進一郎です、はじめまして」
 スズが会釈する。

「どうかなフギン。我らは昨日、港で彼を見ているけどね」

「そうねムニン。私達にとっては初見ではないけれど、彼にとっては
『はじめまして』で良いのじゃないかしら」
 
「やっぱり偵察されてたか……」ギンコが小さく呟いた。

「それがこいつらの仕事だからな」ダンテが答えるように言う。
「こいつらもヤタガラスだ。小さくて白いけどな。アルビノの双子なんだ」

 よく見ると彼らにも三本目の足がある。そこにはジョウゼンの首元に付けられた水色で雫型の宝石とよく似たリングが光っていた。

「今日はもう良いから、ダンテ殿と遊んできなさい」
 ジョウゼンが両手で笠の布を開くようにして促した。

「それでは遠慮なく」ムニンが肩から飛び立った。
「異国の話を聞かせてたもれ」フギンがそれに続く。

「しょうがねえな。じゃあお前ら、また後でな!」

 どこか嬉しそうにダンテもスズの肩から翼を広げた。
 どうやらちょっとした兄貴分という関係性らしい。 
 三羽は羽を羽ばたかせて天窓から外へ出ていった。

 思いの外優しげな表情で彼らを見送ると、ジョウゼンはスズに向き直ってこう告げた。

「ではこれから、坎王様に謁見していただきます」

 

『眠虎の民~ネコノタミ~』

第四章『水の国の転輪聖王(チャクラヴァルティン)』【十一】了】

 

☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆  ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 

ここから裏話を少し。

 

魂衛師団《こんえいしだん》の『こん』は、『門番』を表す

本来は門構えに昏睡のコンという字にしたかったんですが、

変換できないし、ネット上の辞書でも出てこないので変更しました。

 

『孔近衛師団』でも良いんですが、

まあ名前そのままだとダイレクトすぎるかなと。

『孔』の『魂』を守る、という意味で。

言葉の大本はもちろん、近衛師団から。

 

ちなみに『フギンとムニン』は、北欧神話のオーディンの

ペット?のカラスの名前をとりました。

『フギン』は思考、『ムニン」は記憶の意味です。

 

北欧神話の性別は分かりませんが、私はフギンはメス、

ムニンはオスという事にしました。

 

そうするとフィーメイルの『フ』が付くほうがメス、

と覚えやすいのもあり。

 

それではまた。

 

 

 

2025年1月18日 (土)

ネコタミ4−10と、今回もちょっとオマケ。

前回もお知らせしましたが、『世迷言の方の、

ファンブログのサービス自体が終了になり、

2025年1月22日(水)に追加作成もできなくなるので

こちらにもネコタミの続きを掲載しておきます。

 

あちらのブログの方は、2025年4月22日(火)には

完全にサービス終了となり、閲覧もできなくなるそうなので、

小説の続きの更新やこの先のお知らせなどは、

こちらのホームページや小説ブログの方で。

 

以下、

第四章『水の国の転輪聖王(チャクラヴァルティン)』【十】

本文です。

 

☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆  ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 

 
『眠虎の民~ネコノタミ~』

第四章『水の国の転輪聖王(チャクラヴァルティン)』【十】

 

「ちょっと失礼でしょ、お兄ちゃん」フーカが肘でギンコを突付いた。
 先程からやたらとジョウゼンの肩を持つように見える。

 スズの視線に気づいたのか、フーカは早口で答えた。

「ジョウゼン様は赤ちゃんの頃にこっちに来たの。だから、あっちの世界について覚えてないの。私と同じで」

 本人が気づいているかどうかは不明だが、いつもより口調が大人しいというか、丁寧になっているようだ。
 一人称まで、いつもの『あたし』から『わたし』に微妙に変化している。

「だから、だから何か親近感があるっていうか……、それだけだから!!」
 
 怪訝な様子のスズに、うろたえて聞いていないことまで答えている。
 仮面で隠れていて顔は見えないが、照れているのかもしれない。

「そう。だから同じマレビト同士、もう少しボクらにも愛想があっても」
 ギンコがそう言いながら、手近に飾られていた豪奢な花の花瓶から、一本の菊の花を抜き取った。

「良いんじゃないか、ってね!」

 その言葉と同時に彼の魔力を込めたその花を、矢のようにジョウゼンに向かって投げつけた。

 気配に気づいたのか、こちらに向かって振り向いたジョウゼンに届く前に、その花はやはり空中で動きを止めた。
 だが今度は目に見えない氷の壁で破壊されることはなく、彼の前面に盾のように浮かぶ水球が、花の茎の先を包むように捕らえていた。

 彼は呆れたような顔でギンコを見ると、スナップするように右手首を回転させた。

『射《いる》』

 中指をこちらに向けて弾くと同時に、茎と花を反転させた菊の花がギンコに跳ね返るように放たれた。
 しかしギンコはそれを叩き落とすように、彼の仮面に届く直前でそれを受け止めた。全てが一瞬のことだった。

「気にしないで。これも恒例行事みたいな、いつもの事だから」
 フーカが、ため息をついた。

「『氷瀑布《ひょうばくふ》』と『飛仙笠《ひせんがさ》』。
 ほとんど自動的に防御してくれるあいつのチャクラム」

 ギンコが何も無かったかのように、菊の花を花瓶に戻しながら説明した。

「『氷瀑布』の方は、目に見えないくらい小さな氷の針で常にあいつを守ってる。ほんと、冷たくてトゲトゲしい、アイスピックみたいな奴にピッタリ! で、『飛仙笠』の方は――」

「水属性だけでなく、相手によって防御法を変える万能な盾ですけどね。
 特に悪意のある生物の意思のある攻撃に対しては」

 階段を降りて、ゆっくりとこちらに歩み寄ってきたジョウゼンが、ギンコの言葉を遮るように言った。

「ところで、“アイスピック”は氷を砕く道具で、冷たくはないのでは?」
 と、明らかに見下した顔で冷静に指摘した。

「なっ、……じゃあアレだよその、何ていうか……『つららウニ』!!」
 ギンコがジョウゼンに向かって「これだ!」という顔で指をさした。

 氷柱《つらら》+雲丹《うに》。

 スズでさえ「小学生のあだ名か!」と声に出してツッコミたかったが、ひょっとしたらこの世界にはいるのかもしれない。
『つららウニ』という生物や魔獣が。

 ほんの数ミリほど、ジョウゼンの眉根のあたりがピクっと痙攣した。
 ように見えた。
 
 だが今度は完全にギンコを黙殺して、フーカの方に向き直った。

「お久しぶりです、フーカ嬢。この者たちは何か、あなたに対して無礼を働きませんでしたか?」

 “たち”のところで一瞬だけスズの方を見たが、その視線は背筋が寒くなるような冷たいものだった。先ほどネコたちに向けていた眼差しとは違う。
 
 近くに来たことで解ったが、彼の目の色は透き通るような赤い色をしている。『血も凍る』ような恐怖というが、まさに血が凍ったような目だ。

「大丈夫です! もし万が一、何かあっても、私のほうが強いので!」
 フーカが、ぱぱっと素早く顔の前で両手を振った。

 何だか動きがいつもよりコンパクトだ。
 スズの前で見せる、腕を組んだり、足を組んだりする、どちらかと言うと大振りで余裕のある動きとは違う。

「ちゃんと、『好きでもない男性には冷たいくらいでちょうど良い。』って教えを守ってます!!」

 フーカが胸の前でガッツポーズを決めた。

 

 【2025年1月18日 『眠虎の民~ネコノタミ~』
第四章『水の国の転輪聖王(チャクラヴァルティン)』【十】了】

 

☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆  ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ 

Dscf0001

オマケになるかどうかあれですが、写真は設定メモの一部です。

ジョウゼンのチャクラムの『飛仙笠』、最初はというか、

つい先日まで『飛笠』だったんですよね。

 

『飛泉』は高いところから落ちる水や滝のこと、

『氷瀑』は氷結した滝の事なので、まあどっちも『滝』なんですが。

 

坎王である孔を守るのが彼の役目であるので、

彼にとって相性の良い水属性に特化しつつも、

全属性に対応できないともしもの時に役目が務まらなさそうなので、

まあ笠も飛んでるし仙人っぽいし、音の同じ『飛仙』(空中を飛ぶ仙人)

って言葉もあるしで、直前にこっちに変更してみました。

 

そんな裏話でした。

それではまた。

 

2025年1月11日 (土)

ネコタミ4−9をこちらにも更新。+オマケ。

※ファンブログさんが、2025年1月22日(水)から
 新規投稿等ができなくなり、
 2025年4月22日(火)にサービス終了ですって。
 閲覧も不可能になるそうなので……。

 小説のデータ自体はいろんな予備保存をしているので、
 改めてこちらのホームページや小説サイトに掲載する予定です。
 
 とりあえず今月の22日まで間に合う分はあちらにも載せておきますね。

 それ以降は、今後はまた昔の『幻灯花日誌』の方のブログを復活させるか、
 こちらのホームページの方で更新していくと思います。

(行間の直しの関係とか含めると元のブログの方が使いやすいかな……?)

 短い間でしたが、あちらのブログも読んでくださった皆様、
 ありがとうございました!!

 

 

☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆  ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 

 
『眠虎の民~ネコノタミ~』

 

第四章『水の国の転輪聖王(チャクラヴァルティン)』【九】

 

 声の感じから若い男性だと判断したが、その人物は見れば見るほど、人間というよりは『神仙』と言うほうがしっくりとくる外見をしていた。

 白く抜けるような髪と肌の色。
 それはギンコやフーカの白色人種のものとはまた違い、どこか氷のような透明感と冷たさを感じる、性別や人種を超えた先の白さのようだった。

 その両肩には一羽ずつ、鳩ほどの大きさの白い鳥が止まっていた。
 その彼ら全てを覆うように、天蓋のような布の付いた大きな笠が、頭上に浮遊している。彼の周囲はそのせいか、霧や氷の粒が光を受けるように、常にキラキラと輝いている。

 時代劇などで見かける、ベールのような薄い布地の付いた編笠によく似ていたが、笠と布は独立しているようで、金属製のように見える笠の部分だけが、ゆっくりと回転していた。
 彼の纏う水色と白で構成された、優雅だがどこか堅苦しそうにも見える衣服は『官服』なのかもしれない。この宮内で同じような色とデザインの服をまとったネコたちを何度か見かけている。

 

「ただでさえマレビト登録が遅れているというのに、悠長に土産物を物色している場合で……」

 その人物はそう言いながら、ツカツカと階段を早足で降りようとしたのだが、その途中で歓声が上がった。

「キャー!! 上善《ジョウゼン》様よー!!」
「こっち向いてー!!」

 世界的なスターに対するファンの声援のように、土産物売り場にいた民衆から甲高いざわめきが広がる。
 主に若い女性の声が多いようだが、男性からも声援が上がった。

『ジョウゼン』と呼ばれた彼は、「しまった」という表情で階段の中程で足を止めた。そして条件反射のように軽く右手を上げた。
 そこにはギンコの手甲と指輪によく似た物が付けられていた。
 水先案内人《ミズサキ》の印と、魔神輪《チャクラム》だ。

 それとほぼ同時に「受け取ってーっ!!!!!」という、多数の女性の声と共に、何か緑色の物体が三十個以上、彼に向かって投げられた。

 熱狂的なファンが芸能人やスポーツ選手に花やぬいぐるみを投げて贈る姿に似ていたが、それらは全て彼に届く前に空中で停止した。
 大きさや形はまちまちだが、どうやら『感石』のようだ。

 ジョウゼンはどこか申し訳なさそうに、目と口の端で微笑んだ。
 そして階下の民衆に向かって会釈をすると、囁くように呟いた。

『霧《きる》』

 その途端に、全ての感石は凍りつき、粉々になった。
 液体窒素で凍らせたバラの花びらが砕け散るように。

『散《ちる》』

 続けてそう言うと、右手を外に向けて払った。
 粉微塵になった感石は全て、風に乗るようにどこかへ消え去った。

「はぁ〜ん!!!!!」

 崩れ落ちるように、感石を投げた女性たちがその場に座り込んだ。
 彼女たちの投げた感石の片割れも、全て手の中で粉々に崩れ落ちたようだった。
 だが彼女たちの様子は、心からショックを受けて悲しんでいるというよりは、そんな状況に酔って楽しんでいるようにも見える。

「気にすんな。あれはここの恒例行事みたいなもんだ」
 呆然とその様子を見つめていたスズに、肩に乗っていたダンテが言う。

「下手に受け取って気を持たせないだけ、誠実なのよ」
 フーカが、どこか誇らしげに言い添える。

「ほら、あるじゃん? 子供の頃から活躍してるスポーツ選手とかさ、赤ちゃんの頃から国民に愛されてる王室の王子様とかさ。
 ボクらが『しゃべるホワイト子ライオン』なら、あいつは『産まれたてのふわっふわのユキヒョウの赤ちゃん』みたいなもんなんだよ。しかもアルビノの」
 ギンコが、なぜか憎々しげに説明した。

(触れなくてもパンダの赤ちゃんを動物園に観に行く人たちのような心境なんだろうか)
 何か違うような気もしたが、スズはスズで納得した。

 

 【2025年1月11日 『眠虎の民~ネコノタミ~』
第四章『水の国の転輪聖王(チャクラヴァルティン)』【九】了】

 

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で、せっかくこっちのページで読んでくれた方へのオマケです。

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昔キャラ設定を考えている時とかに、ミニキャラで描いたりしていたもの。

でも今考えると21歳のギンコが『べー』ってしてたら怖いので、

子どもの頃の設定かもしれない。まあどっちでも良いけど。(笑)

ちなみに上善は今、25歳くらい。

 

まったく関係ないけれど、最近のネタメモのノートに

『アイベックスはアカシアの木に登る』と、

『アイベックスは舌を出すのがプロポーズ』とあるので

ついでにここに書いておきます。

(念の為言っておくと、ギンコの恋愛対象は女性。)

 

なんかメモった割にはどこにも使えそうにないので。(笑)

でもヤギ的な生き物が木に登ったりできるのって凄いと思う。

蹄の内側に肉球があるんですって。

 

それではまた。

 

2024年12月30日 (月)

微妙に修正版。

 

第四章『水の国の転輪聖王(チャクラヴァルティン)』【八】、


世迷言のブログの方で昨日更新しましたが、凡ミス(暦のところ)の

修正と、補足し忘れた色のことなどを加えた修正版をこっちに置いておきます。

 

っていうかね、来年で世迷言の方のブログが無くなるそうですよ。(泣)

まあ最近ようやくこっちの画像の載せ方も解ってきたので、

いっそこっちに統一しても良い気がしてきましたが。

 

ちなみに、建物のモデルは『サマルカンドのモスク』

『イスファハーンのイマームの広場』です。

とても美しいので良かったら検索してみてください。

 

もう本当に、宗教建築だけはキリスト教の教会もイスラム教のモスクも、

まさに神の領域と言って良いほど美しいですよね。

こんなに美しいものが作れるのに、なんで人間は未だに

殺し合う世の中しか作れないんだろうと度々思います。

 

そんなこんなで以下4−8本文です。

今回は多少めんどくさいけど行間を直しました。

(なんでこっちにコピペすると空きが二行分になって反映されるかは謎。)

 

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『眠虎の民~ネコノタミ~』

 

第四章『水の国の転輪聖王(チャクラヴァルティン)』【八】

 

 
 ターコイズブルーの鮮やかな水色をした巨大な丸屋根がいくつか、蓮の花弁のようにして集まり、淡い光を受けて輝いている。

 その先の尖った丸屋根は『如意宝珠』を現しており、民の願いや祈りを受けとり叶える『坎宮水宮』と『坎王』の、慈悲や愛の象徴とされている。

 中央の最も大きく高い一つの建物を囲むようにして、八方向にそれぞれいくつかの丸屋根の建物と、それを門のように守る尖塔が両脇に建っている。
 中には大きく八種に分けられた官公庁がそれぞれ配置されているそうだ。

 船着き場を上がった開けた庭園から坎宮水宮までは、真っ直ぐに舗装された白い大道が伸びており、その両脇には正方形に左右に四つずつ、蓮の花をかたどった八角星型の巨大な噴水が水と光をたたえている。

 その泉水には蓮や睡蓮をはじめとした水生の植物が繁茂し、道のそこここには様々な花の咲く花壇、そして建物全体を囲むようにして低木の樹木が植えられている。
 さらにその園の外側には水路として囲うように、清らかな水の小川が流れている。

 この施設に用のある住民や観光として訪れる旅行者たちは、この美しい庭園を散策し、ベンチに座って談笑したりと、それぞれ思い思いに憩いの場として過ごしているようだ。

 

「でっかい温室の中にいるみたい……」
 スズが建物からさらに上を見るようにして、歩きながら頭上を仰いだ。
 
 実際、巨大なガラスドームのような物の中に建物や庭園ごといるのだが、あまりに規模が大きすぎて自分がどんな場所にいるのかを忘れそうになる。
 中空では小さな蜜蜂が飛び、蝶がひらひらと行き交っていた。

 じっと天井を見ていると、時折上空から金の光が目に飛び込んでくる。
『時の宝輪《カーラ・チャクラ》』と呼ばれる、金色の輪の光だ。
 透明なドームのそのさらに向こうを、歴、月、日を表す輪が、それぞれに時を刻みながら、三重に覆っている。

 ギンコの説明では、「たとえば、『原爆』みたいなものが落とされたとしても、この輪と水球の中だけは少なくとも何百年かは、守られるだけの備えがあるんだよ」という事だった。

「“”知識と知恵と、民の命。それが守られることだけが、歴史に繋がる”」。
 フーカも独り言のように呟いた。
 
『坎宮水宮』に近づくと、その壮麗さはさらに目を見張るものがあった。

 水色や青のグラデーションを基調に、金と紫、白と黒、オレンジ色と緑などの対比の美しい色彩で、まるでイスラム都市のモスクのタイル装飾のように細微な文様で壁が埋め尽くされている。見れば見るほど、それぞれの彩色やデザインが圧倒的な存在感と美しさで迫ってきた。

 花や樹木、動物などを筆頭に、眠虎の民、神だと思われるその他の生き物や龍虎など、壁の一面を詳しく見るだけでも一日は掛かりそうな美麗な装飾だった。
 
 スズが周囲の様子に気を取られていると、いつの間にか建物の内部に入っていたようで、そこには高名な美術館で見るような洗練された受付と、土産物店が展開されていた。

 二階建てで、一階は絵葉書やコップなどの地球の売店でもよく見る小物等、上階には図書館のように、ぐるりと販売用の書籍が並ぶ本棚が置かれている。

「まずは君に見てもらいたいアイテムがあるんだよね」
 ギンコがスズを引っ張って建物中程に連れて行った。

「じゃーん!『マレビトカレンダー』です!」

 そこには大中小、大きさこそは違えど、来年のカレンダーが並べられていた。表紙には壊れたメガネ姿の三十代以降と見られるアジア系の人間の男性が写っている。

 医療従事者が身にまとう白衣姿だが、床に胡座をかきながら三匹の子猫(地球でいうところのペットとして飼われる普通の『猫』の子猫)と戯れて、照れつつも幸せそうな笑顔を浮かべている。

「この人、どっかで見たような……」
 スズは独りごちた。
 気のせいだろうか。微かだが、何か向こうの世界の記憶が刺激された。

「毎年、新しく来たマレビトを表紙にカレンダーとかが作られるんだよ。こっちの世界のみんなに覚えてもらうためにね。来年はきっと今日撮る写真のスズが表紙だよ!」
 ギンコが笑顔で言った。
 
 そんな話は聞いていない、目立つのは嫌だがどうしようも無いことなのかと問おうと振り向いたが、すでに数メートル離れたギンコは、別のカレンダーを指して言った。

「それでこの人がボクの運命の人で――」

「遅い!」
 
 言いかけたギンコの言葉を遮るようにして、凛とした声が響いた。
 振り向くと上階に続く階段に、白髪の美しい男性が立っていた。

 

 

【2024年12月29日 『眠虎の民~ネコノタミ~』

第四章『水の国の転輪聖王(チャクラヴァルティン)』【八】了】

 

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やっとこの先3、4話分くらいのネーム(小説だと何ていうんだろう?プロット?

紙のノートにそのまま殴り書いた感じの文章なんです)が出来たので、

この先はちょっとスムーズに発表できるかもです。

 

今年もお世話になりました、皆様も良いお年をお過ごしください。

 

2024年7月30日 (火)

何か小説の方に思いのほか時間かかりそうなのでイラストを先に載せておきます。

 

とりあえず、小説サイトの表紙絵設定で

『上善(ジョウゼン)』のイラスト経過を。

Photo_20240730191001

うっすら字をかけていますが、まあ今の御時世なので

生成AI対策に少しでもなればと……

別にお前の絵なんてAIサンプルにすら求めてねーよ!

というツッコミがある自意識過剰な事かもしれませんが、

まあ自衛できそうなところは少しでも自衛してみようかと。

 

なんかね、最近占いサイトとかで手間や時間が

すごくかかっていそうな素敵なイラストを見かけても、

「いや……これはひょっとして生成AIイラストなのか??」

って疑ってしまうことも多々ありまして。

(元絵になった絵師さんはどちらにせよ凄いと思います!)

 

自分の絵もそう思われたら何か悔しいので今回は

『大昔に紙にシャーペンで描いたイラストを

 トレーシングペーパーに写してカメラで撮影して

 取り込んで、タブレット内でペン入れを重ねる』

の段階から、経過別に掲載してみました。

 

(私の場合、普段はタブレット画は下絵から

タブレットの中で描くことが多いです。)

 

我ながらシャーペンで描いた段階のイラストの時が

一番キャラの雰囲気が表せてて好きなんですけどね。

描いてるうちに修正を重ねて別の絵になってしまう、という。

 

絵描きさんならけっこうあるかと思うんですが、

ザックリ勢いで描いた時の絵が自分でも一番好き、という。

 

漫画もネットで短編くらいから描いていきたいなとも思うんですが、

できれば鉛筆画に軽く色を付けたくらいの雰囲気で描きたいんですよ。

ペン入れというより、タブレット内で描いたシャーペン画に、

水彩で色付け、みたいな。

キチキチにペン画にするとキチキチに色塗りもしたくなってしまうんで。

 

理想の絵が描けるようになるためには練習しなくちゃなんですけど、

絵を書き始めるとそっちに集中してしまうので小説が進まなくなったり。

もう少し日々の中でバランスよくやっていけたらと思います。

SNSの更新とかもね……そろそろ復活できたらと。もう8月。

 

小説の方もけっこう細かくセリフまで決まっているので

あとは書き起こすだけなんですが、前回も何かまだ何か違うな

まだ発表したくないと考えてあとで気がついたのが、カラの

 

「私が求めていたのは、私を力で負かして屈服させる男じゃなくて、

 私よりも心が強くて自然に尊敬できる殿方だったんだって」

 

この最後のセリフの

『自然に』が最初入ってなかったんですよ。

自分の中では当たり前過ぎて。

 

よく考えたらこの自分の感覚と一体化しすぎて頭の中で

わざわざ言葉にもしてないことで、他人には説明入れないと

解ってもらえないかもしれない事って、恋愛話ならなおさら

気をつけないといけないかもな、と。

 

考えだしたら切りが無いんですが、まあ今回も自分でも

理解してない違和感や、もっと良い言い回しがあるのかもしれないです。

近日中には更新できたら良いなとは思いますが。頑張ります。^^;

 

それではまた。

 

 

2017年9月 1日 (金)

『眠虎の民‐ネコノタミ‐』エブリスタさんに移動しております!

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ブログの方ではすでに何度かお知らせさせていただいたのですが……。
当初メディバンさんのパブリッシングサービスを通して、
電子書籍として第三章以降を有料化して発表しようとしておりました
『眠虎の民‐ネコノタミ‐』。
メディバンさんが電子書籍5大ストア(アマゾン等)での
パブリッシングサービスを先月8月31日をもって終了されるとのことで(TェT)
今後は発表の場を『エブリスタ』さんにさせていただく事にいたしました!
【エブリスタ版:『眠虎の民‐ネコノタミ‐』シリーズ一覧 https://goo.gl/pVq7QW 



そんなわけで、もしこれからこのシリーズを読もうと思って下さる、
ありがたい方いらっしゃいましたら、
良かったらこちら↓からお読みください。(TェT)。+.。゚:;。+


【エブリスタ版:眠虎の民‐ネコノタミ‐壱】
最終的な加筆・修正バージョンでもあり、文章形式は結局、
どんな媒体(スマホサイズ)からでも無難に読める、
原稿用紙的な一般的な書き方となっております。
(↑はじめからそうしろって話ですね、
今まで携帯からで読みにくかった方、ごめんなさい。(-ェ-);)
今日(2017年9月1日)現在、第二章の十まで掲載しております。
エブリスタさんで色々試してみてから解ったのですが、
有料販売する場合は40ページ以内ということで、
三章以降は一章の半分ずつ程度の分量で発表していくかもしれません。
当初一章ずつの発表で考えていたので、数値が【壱】【弐】と
漢字表記になっていますが、今後もし数が増えすぎた場合には、
英数字で【1】【2】という風にタイトル変更があるかもです。(-ェ-);
章タイトルのすぐ後に文章を入れる方法とか最初良く解らないで
更新してしまった部分とかも色々……三章以降は直すかもです。(TェT)
まあとにかく、そんなこんながありまして、
小説投稿と共に、メディバン経由の電子書籍のリンクの削除等、
これから徐々に進めていきたいと思います。
しばらくご迷惑をおかけすると思いますが、
今後ともどうぞよろしくお願いいたします!(TェT);

2016年7月15日 (金)

最近のまとめですm(_ _)m

TOKYO ZEROキャンペーンのバナーの設置のご案内ですm(_ _)m

 
 





 

TOKYO ZEROキャンペーンのバナーをあなたのサイトに設置してください!

http://tokyozero.jp/banners/



東京オリンピックまでに、不幸な犬猫をゼロにしよう、
幸せに生きられる東京にしようというキャンペーンです。

(解決策や、具体的な行動の詳しくは、サイトでご確認くださいm(_ _)m。+.。゚:;。+)


たくさんの有名人の方も、呼びかけ人となっておられます。

良かったら、皆さんもバナー設置などで応援しませんか?(^ェ^)






『眠虎の民-ネコノタミ-』、表紙絵コンテストにご協力くださいました
すべての皆様、 本当にありがとうございました!(´;ω;`)♥
ななぽに様( @gigzagu123 )の作品を採用させていただきました、
本当に可愛らしくて素敵なイラストを描いていただき、感動です!!

とても美しい表紙絵なので、良かったら見てみて下さいね!
(^ω^)ノ♥。+.。゚:;。+
●メディバン・第一話・第二話無料版
 『眠虎の民‐ネコノタミ‐』 http://bit.ly/24QrgCA
この『ネコタミ』ですが、小説投稿サイト等から撤退し、
電子書籍として有料で続きを発表することにしました。


そのため規定により、『小説家になろう』等の小説投稿サイトから
退会いたしました。m(_ _)m


以下は章ごとに発表してゆく予定です。



という事で、このサイトから貼ってある、『なろう』へのリンクを
外し、メディバンの無料お試し版へと、リンクの貼り直しをいたします。


もし、リンクを貼って下さっている方がいましたら申し訳ありません、
ご迷惑をおかけしますが、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
(TェT)。+.。゚:;。+

2016年3月 7日 (月)

コンテストにて、自小説の表紙イラスト募集中です!(๑•ω•́ฅ✧

『メディバン投稿作品表紙絵コンテスト』表紙募集中です!!(๑•ω•́ฅ✧


求ム 56
書籍 眠虎の民-ネコノタミ-

https://medibang.com/medibangcover/entry/57




『メディバン投稿作品表紙絵コンテスト』
あなたの好きな物語に表紙をつけよう 

 
【募集作品一覧】
 
【応募概要】
 


 
【応募期間】
 
2016年3月3日(木)〜2016年5月11日(水)23時59分まで
 
【賞金】
 
特賞10万円
優秀賞1万円(最大10作品)
 
 
だそうですよ!!(๑•ω•́ฅ✧
 
 


私も『ネコタミ』の表紙募集で参加させていただいております。(*´ω`*)
 

良かったら皆さんの絵で、ネコタミ表紙イラストを下さい!!(^ω^)ノ

(私の絵に似せる必要はありません。キャラの見た目も自由に!)
 
 
アナログ画でもデジタル画でもラフ画っぽい絵でも、
なんでも嬉しいです!!(詳しくは募集要項をお読みください)

お待ちしておりますので、
気軽にご参加ください!!Σd(ゝω・o)
 
第一章のみでも、メインの登場人物は出てきますので、
ちらっとでも読んでみていただいて、
あなたの描いたスズやギンコを見せていただけたら幸いです♪(*´ω`*)
 
どうぞよろしくお願いいたします!!(^ω^)ノ♥。+.。゚:;。+




以下改めまして、作品概要等のご紹介です。

 
【あらすじ】
 
「帰りたい」そこがどこかも解らないけれど、懐かしい場所――。  
 
自分に自信が持てず、居場所が解らなくなっていた少年、鈴木進一郎。  
 
ある日の帰り道、黒猫に横切られ、バナナの皮で滑って  
マンホールに落ちるという事故にあってたどり着いたのは、
二足歩行のネコ科の獣人たちが暮らす異世界『眠虎《ねこ》』だった。  
 
そこでは進一郎のように、
「死にたくはないが、この世界に存在していたくもない」という人間が  
稀に飛んでくるので、そんな地球の人間を総称し、 “マレビト”と呼んでいた。  
 
進一郎は無事、地球に帰ることができるのか――?  
 
自分の居場所を捜し求めるすべての人に一緒に旅していただきたい、  
スピリチュアルなファンタジー。




☆☆☆☆☆☆☆☆ ☆☆☆☆☆☆☆☆ ☆☆☆☆☆☆☆☆ ☆☆☆☆☆☆☆☆ 


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『眠虎の民‐ネコノタミ‐』は、他にも電子書籍等、
様々な媒体でお読みいただけます。



良かったら一度、ちらっとでも
読んでいただけると幸いです!!(´・ω・)ノ♥。+.。゚:;。+